中小企業診断士はどのように人脈が広がり、ビジネスにつながるのかを知りたい人は多いのではないでしょうか?
結論、中小企業診断士は人脈形成しやすい環境にあると言えます。診断士同士がつながる、独自のコミュニティが形成されてきたからです。
この記事では、ビジネスの人脈形成を広げるには中小企業診断士が有効である理由や、人脈形成を広げる場について解説します。本業のビジネスに与える効果や、副業への生かし方についてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
ビジネスで人脈を広げるなら中小企業診断士が有効
中小企業診断士は、税理士や社労士、司法書士等他の士業と比べて横のつながりができやすいといえます。中小企業診断士は、基本的に独占業務がありません。つまり独占業務を持たない診断士は、広くネットワークを構築することが、仕事で成功するうえで必要になるからです。
一方、税理士や社労士、司法書士には独占業務があります。独占業務に関して深い知識を持ち丁寧に仕事をしていれば、一匹狼であっても自然に仕事が舞い込んできます。
またこれらの独占業務がある士業は、1件の仕事を1人で担当し完結させます。そのため同業者はライバル関係になりやすい傾向です。
一方中小企業診断士は、取り扱う案件の規模や内容によっては複数の診断士でチームを組むケースがあります。また、専門外の分野をカバーできる診断士の協力を仰いだりするケースが少なくありません。
そのため、広い範囲で人脈が広がりやすくなります。ビジネスにおいて、人脈を広げ多方面で活躍したい場合は、中小企業診断士は有効だといえるでしょう。
中小企業診断士が人脈形成を広げる3つの場所
中小企業診断士になると、どのような人脈形成の場があるのでしょうか?
主な3つの場所について、見ていきます。
中小企業診断協会
人脈形成1つめの場が、中小企業診断協会への入会です。中小企業診断協会では、入会している診断士について以下の情報をデータベース化して、全国の中小企業支援機関や企業経営者に提供しています。
- 診断士の得意分野や専門業種
- コンサルティング実績
- 原稿執筆や講演などのキャリア
入会費で3万円ほど、年会費で5万円ほど発生しますが、十分ペイできるほどのメリットが得られるでしょう。
各県協会に入会し積極的に活動すれば、多くのネットワークを作れます。各県協会には数十名から数百名の診断士が加盟し、活発に活動しているからです。
以上のことから、中小企業診断協会への加盟は、人脈形成を広げるのに最適だといえるでしょう。
研究会
人脈形成2つめの場が、研究会です。中小企業診断士が参加する研究会とは、各都道府県の中小企業診断協会が運営する団体のことで、以下のような共通目的のために存在します。
- 専門性を磨きレベルアップすること
- 中小企業診断士同士の人脈形成
- 仕事の紹介や斡旋
中小企業診断協会運営の研究会が取り扱う分野はさまざまで、多岐に渡ります。
- 事業再生・M&A
- ITやDX
- 海外進出
- マーケティング
- 地域創生
どの研究会に参加するかは、以下の切り口から選ぶと良いでしょう。
- 開催が平日夜か休日か
- 初心者OKか
- 出席義務の有無
- 会費
気になる研究会があれば、見学させてもらうのもおすすめです。
診断士の有志団体活動
人脈形成3つめの場が、診断士の有志団体活動です。一般で知り合った診断士同士で活動します。
診断協会とは関係のない任意団体のため、自分たちで診断先の報告会や執筆活動をします。団体によって活動内容はさまざまですが、以下のような活動事例が見受けられます。
- 勉強会
- セミナー
- ブログ運営
中小企業診断士の資格取得直後は、このようにオープンな活動に参加するのも人脈形成に役立つでしょう。
中小企業診断士の資格が本業ビジネスに与える3つの効果
中小企業診断士になると、さまざまなメリットが享受できます。本業ビジネスに与える3つの効果について見ていきます。
仕事の質が向上する
中小企業診断士の資格を得ると、本業において仕事の質が向上します。資格取得のための勉強過程で、経営全般の知識が身につくと同時に、経営課題解決策などを学ぶからです。
より広い視野を持ち、仕事力が向上するのは間違いないでしょう。企業内診断士とプロコン診断士の資格取得の動機をまとめると、以下の通りです。
診断士資格取得の動機 | 企業内診断士(回答数/構成比) | プロコン診断士(回答数/構成比) |
経営全般の勉強など自己啓発・スキルアップを図ることができるから | 724/34.5% | 422/22.7% |
中小企業の経営診断・支援に従事したいと思ったから | 358/17.0% | 427/23.0% |
業務遂行上、中小企業診断士の資格が活用できるから | 337/16.0% | 200/10.8% |
定年後に資格を活用したいと思ったから | 290/13.8% | 167/9.0% |
経営コンサルタントとして独立したいと思ったから | 209/9.9% | 421/22.6% |
転職など就職の際に有利だから | 97/4.6% | 45/2.4% |
中小企業診断士の資格を持っていると優遇されるから | 49/2.3% | 52/2.8% |
経営コンサルタントとしての信用を高めるため | 19/0.9% | 108/5.8% |
その他 | 18/0.9% | 18/1.0% |
合計 | 2,101/100.00% | 1,860/100.00% |
【出典】関西外国語大学川村悟氏:「企業内診断士の実態調査~現状と活躍の可能性について~表2-3企業内診断士とプロコン診断士の資格取得の動機比較」
https://www.j-smeca.jp/attach/kenkyu/honbu/h29/jittaichosa.pdf
企業内診断士では、「経営全般の勉強など自己啓発・スキルアップが図れるから」が全体の34.5%と最も多く回答されています。
このように、スキルを高める意識の高い人が多く見受けられる診断士は、仕事の質が向上するのは自然な流れです。
重要な部署への異動
診断士になると、自社内で重要な部署へ異動するケースも見受けられます。特に経営全般に関する知識を有していることから、戦略立案する以下の部署への異動が考えられます。
- 経営企画部門
- 事業戦略の立案
- 新規事業開発
エンジニアだった人が中小企業診断士の資格を取得したのち、企画部門内の情報システムチームに配属された例があります。期待される役割も単なるSEとしてではなく、会社経営を支え組織全体を俯瞰することを求められます。
このように、経営的視点を持つ中小企業診断士は、企業内において戦略的な部署での活躍が期待されるでしょう。
転職でのキャリアアップ
中小企業診断士の資格を持つと、転職でのキャリアアップを可能にします。診断士は外部から経営を支える立場と、内部で経営を支える立場の両面を経験できるので、転職市場でのニーズは高いといえるでしょう。
特にコンサルティング会社や事業会社の経営企画部門への転職が多く、ハードワークではありますが、その分年収アップの可能性も高まります。
中小企業診断士の資格が生かせる副業3選
中小企業診断士の資格は、副業でも有効に生かせます。診断士の資格が生かせる3つの副業について、見ていきましょう。
診断業務
診断士の資格を活用できる副業の1つめが、診断業務です。業務内容は、主に以下の通りです。
- 企業の経営指導
- 売上拡大策
- 商品開発への助言
- 補助金申請
特に最近では、「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」などの申請補助の仕事が多い傾向です。
これらの業務は副業でも数件担当すれば、年間で稼げる金額が100万円を越えてくるケースもあります。
セミナー講師
診断士の資格を活用できる副業の2つめが、セミナー講師です。企業向けのセミナーで将来プロコンとして独立する際の、見込み客発掘にもつながるでしょう。
診断士の資格があれば、以下のようなセミナーを開催できます。
- 知識取得のためのセミナー
- 補助金情報セミナー
- コンサルスキルアップのセミナー
- 診断士への実務経験伝授のセミナー
特に、実務経験は診断士にとって貴重な情報なので、集客効果は高いといえるでしょう。
執筆活動
診断士の資格を活用できる副業の3つめが、執筆活動です。自身の経験をコンテンツにまとめ、より多くの人に知ってもらいます。
- 協会への会報や雑誌への投稿
- 書籍の出版
執筆は他人に役立つ情報が必須なので、診断業務や研究会活動を経験した上で取り組むことになります。
まとめ
以上、中小企業診断士が人脈を広げるのに有効な理由や人脈を広げる場について解説しました。
中小企業診断士の資格を取得すると、さまざまなフィールドで活躍できます。そのためのポイントが、人脈形成だとお分かりいただけたでしょう。
周囲とつながることで活躍の場が広がる中小企業診断士。人脈形成を広げることは、診断士の仕事をより充実させるはずです。