「科目別の勉強時間の目安が知りたい」
「仕事であまり時間が取れないのでできるだけ短い時間で合格したい」
「効率的な勉強法が知りたい」
中小企業診断士合格を目指す方の中には、仕事や家族、学校などの関係で使える時間が少ない方も多いですよね。
限られた時間の中で効率的に勉強を進めるためにも、合格に必要な勉強時間や効率的な勉強方法を知りたい方は多いのではないでしょうか。
この記事ではそんな悩みをお持ちの方に向け以下の内容で解説します。
- 中小企業診断士の合格に必要な勉強時間
- 科目別の勉強時間や難易度
- 最短合格を狙う場合の勉強法や勉強する順番
ぜひ最後までご覧ください。
中小企業診断士に必要な勉強時間は1000時間
国家資格の中でも高難易度といわれる中小企業診断士の合格には、約1,000時間の勉強時間が必要といわれています。ほかの国家資格とくらべても多くの勉強が必要な資格といえるでしょう。
中小企業診断士の合格に多くの勉強時間が必要なのには2つの理由があります。
1つめは一次試験における出題範囲の広さです。
中小企業診断士が企業が抱える様々な課題に対し適切に助言をするためには、会計や法律、経営に関する幅広い知識が必要不可欠です。
一次試験では、中小企業診断士として企業に助言できるだけの経営知識を持っているのかが問われます。
その範囲は7科目となっており、国家資格の中でも多い科目数です。
当然、出題範囲も広くなり結果として多くの勉強が必要なります。
2つめの理由は一次試験と二次試験の内容の違いにより、まったく別の勉強が必要になるためです。
一次試験では必要な知識を持っているかが問われますが、二次試験では持っている知識を中小企業診断士として活かすことができるかが問われます。
つまり、一次試験では「インプット」ができているかが問われるの対し、二次試験では「アウトプット」ができるのかが問われるため勉強方法としてはまったくの反対になります。
上記のように学習範囲の広さや試験ごとの対策がちがうため、中小企業診断士合格には多くの勉強時間が必要です。
受験専業で勉強できる場合
受験に専念できる方の場合に合格に必要な期間を見てみましょう。
仮に平日5時間、休日8時間の勉強した場合は半年ほどの期間で合格を狙うことができます。
以前より試験科目に関連する知識がある場合は、さらに短い期間で合格を狙うことも可能です。
一方、まったく知識がない状態で学習を始めた場合は、半年を過ぎても合格レベルに到達しない可能性もあります。
また二次試験に関しては、実務的な問題が出題されます。
そのため、実務経験が少ない場合は、問題に対して具体的なイメージを持ちづらく解法が身につくまで多くの時間が必要になる可能性が高いです。
期間をタイトに設定した場合、気持ちの焦りから勉強が進まなくなることも考えられます。
特に初学者の場合は余裕を持って期間設定することをおすすめします。
仕事をしながら勉強する場合
仕事をしながら勉強する場合の必要期間はどれぐらいでしょうか。
平日2時間、休日に5時間、週で約20時間の勉強をすると仮定した場合、約1年の期間が必要になります。
ただし、上記の期間は毎日継続して勉強ができた場合の期間です。
しかしながら、家庭や仕事の状況により毎日勉強を続けるのがむずかしい方もいるでしょう。
そういった方は2年、3年といった長期間で勉強計画を立てた方が良いかもしれません。
もしどうしても早く合格したいと考えている場合は、スキマ時間を活用しましょう。
1日を改めて見てみると、通勤時間や買い物中などちょっとした空き時間が見つかる場合があります。
そういったスキマ時間を、動画の視聴や単語カードを使って勉強時間にすることができれば、効率的に勉強を進めることが可能です。
最短合格するためには科目別の時間配分と勉強法が重要
中小企業診断士の出題範囲は一次・二次試験と合わせると11科目になります。
内容もとても濃く、11科目すべてで満点を狙うような勉強していては、時間がいくらあっても足りません。
最短時間で必要な知識を身につけるためには、科目別の時間配分と勉強法がとても重要になります。
勉強法とは、大まかにいえば「満点を取るのではなく、すべての科目で確実に合格基準点である60点を取る」というものです。
この方法で勉強することにより、余分な勉強時間を抑えることができます。
また、最短時間で合格するためには科目別の時間配分もとても重要です。
中小企業診断士の科目の中には、内容をしっかり理解するために十分に時間をかける必要がある科目と、短期間で集中して勉強するべき暗記科目があります。
これら科目別の時間配分や勉強法を意識して勉強を進めることで、最短で合格を狙うことが可能になります。
人によっては、1,000時間未満の時間でも合格を狙うことができるでしょう。
【科目別】中小企業診断士一次試験の勉強時間の目安
ここでは、中小企業診断士一次試験の勉強時間の目安や難易度、勉強する科目の順番について解説します。
【科目別】難易度と勉強時間
以下が、一次試験の合格に必要な科目別勉強時間の目安一覧です。
科目 | 目安の勉強時間(時間) |
---|---|
財務・会計 | 200 |
企業経営理論 | 150 |
経済学・経済政策 | 130 |
運営管理 | 130 |
経営法務 | 70 |
経営情報システム | 70 |
中小企業経営・政策 | 50 |
科目別に詳しく見てみましょう。
財務・会計 200時間
財務・会計は簿記の知識が必要で、事前に知識がない場合は多くの勉強時間が必要になる科目です。
また、二次試験の事例4にも大きく関わるためとても重要な科目といえるでしょう。
しっかりと基礎を理解していなければ解答がむずかしい科目でもあるため、内容がしっかり理解できるよう最初期から勉強を始めるのがおすすめです。
財務・会計は過去問が出題される可能性が低い科目でもあります。
そのため簿記の基礎を勉強したあとは、問題集を繰り返し実施して徹底的に理解を深めるように勉強を進めていきましょう。
また試験当日は電卓を使うことができませんので、解答するスピードも意識して問題集に取り組むと効率的に勉強できます。
企業経営理論 150時間
企業経営理論は中小企業診断士において基礎となる、重要な科目です。
基礎となる科目であるだけではなく、二次試験の事例2と事例3にも深く関連している科目になります。
そのため内容をただ暗記するのではなく、テキストの読み込みのほか、過去問演習も実施し理解を深めることが重要です。
一次試験はすべてマークシート方式になりますので、問題に対する「文章読解力」や「不要な選択肢を排除する力」を高めるように勉強を進めるのが効果的です。
また、ビジネスマンにとっては馴染みのあるリーダーシップやマネジメントといったテーマの多い科目でもありますので、ビジネス書などをよく読んでいる方には入りやすい科目ともいえるでしょう。
経済学・経済政策 130時間
経済学・経済政策は習得までに時間はかかりますが、出題率の高い理論をしっかりと理解すれば高得点を狙いやすい科目でもあります。
高得点を狙うためには主だった理論の勉強のほか、グラフ・数式を使った演算問題やグラフなどといった数学的な勉強が必要ですので、テキストと過去問を繰り返して理解を深めていきましょう。
また、常に主要なニュースを新聞やWebなどでチェックしておくのも重要です。
運営管理 130時間
運営管理は「財務・会計」「企業経営理論」と同様に二次試験にも関連する科目のため、しっかりと内容を理解する必要があります。
内容は、「生産管理」「店舗・販売管理」の2つの分野に分かれており、知識があれば解答できる問題と知識を基に計算が必要な問題が出題されます。
しっかりと勉強時間を確保し、理解を深めることが重要です。
経営法務 70時間
経営法務は、経営に必要な法律についての科目です。
基本的には暗記での勉強がメインになります。
経営法務は法律知識について幅広く学習する必要があり、完璧を目指すと時間がいくらあっても足りません。
また、難易度も年度によってバラつきがあります。
そのため暗記科目ではありますが、勉強すれば必ず点数が上がるという訳でもありません。
過去問でよく出される問題や法改正があった内容など、出題が予想される問題は確実に解答できるようにしておく必要はありますが、難易度が高すぎる問題などは切り捨てる覚悟を持っておきましょう。
経営法務に勉強時間を使いすぎてほかの科目との勉強バランスを崩さないことが重要です。
経営情報システム 70時間
経営情報システムは情報技術に関わる専門用語になれる必要があるため、ITに詳しくないと取りつきにくい科目になります。
暗記が重要な科目のため、テキストや問題集を活用してしっかりと内容を定着させましょう。
注意点として、経営情報システムは経営法務と同じく難易度にバラつきがある科目になります。
そのため、勉強の時間配分には気をつけ、深入りしすぎないようにしましょう。
中小企業経営・政策 50時間
中小企業経営・政策は毎年4月に発行される中小企業白書を元に出題されます。
そのため、勉強できる期間が短いのが特徴の科目です。
一方、暗記がメインの科目のため覚える内容は多いですが、きちんと勉強すれば合格が狙いやすい科目でもあります。
中小企業白書の内容をどれだけ覚えられるかが、合格のカギになるでしょう。
一次試験対策を効率的に勉強するためには順番が重要
最短期間で効率的に勉強するためには、勉強する順番もとても重要です。
上でも解説しましたが、中小企業診断士の一次試験は「理解がメインの科目」と「暗記がメインの科目」に分かれます。
暗記重視の科目を最初に勉強しても、忘れてしまう可能性が高くムダな時間になりかねません。
そのため、理解がメインの科目から先に勉強するのがおすすめです。
特に「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」の3科目は二次試験との関連性も高く、何度も繰り返し勉強する必要もあるため、最初に勉強を始めましょう。
一例として、おすすめの勉強順を以下に記載しますので、参考にしてください。
- 企画経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
- 経済学・経済政策
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
保有資格により科目が免除されるケースもある
保有している資格により、一次試験の科目が免除される場合もあります。
以下に、科目が免除される資格を一部紹介します。
保有資格(一例) | 免除される科目 |
---|---|
・公認会計士 ・会計士補 ・税理士 ・弁護士など | 財務・会計 |
・通算3年以上勤務する大学等の経済学の教授など ・公認会計士 ・不動産鑑定士など | 経済学・経済政策 |
・弁護士 ・司法試験合格者など | 経営法務 |
・技術士(情報工学部門登録者に限る) ・ITストラテジストなどの情報処理技術者試験合格者など | 経営情報システム |
上記のほかにも、科目が免除される資格がありますので、詳しくは中小企業診断協会の公式ページでご確認ください。
[出典:https://www.j-smeca.jp/contents/013_c_faq/001_faq_shiken.html]
中小企業診断士二次試験の勉強時間の目安
ここでは、中小企業診断士二次試験の勉強時間の目安や勉強の注意点、コツについて解説します。
難易度と勉強時間
以下が、二次試験の合格に必要な科目別勉強時間の目安一覧です。
科目 | 目安の勉強時間(時間) |
---|---|
事例1~事例3 | 100 |
事例4 | 100 |
科目別に詳しく見てみましょう。
事例1~事例3 100時間
事例1~3に関してはテーマに沿った別々の解答が必要になりますが、出題形式に関しては共通する部分が多くあります。
そのため、事例1~3に関しては1つにまとめて学習することができます。
勉強するコツとしては、問題を以下の3つのパートに分けて、それぞれに勉強をすることです。
- 設問
- 与件文
- 解答
設問が求める答えを正確に読み取る勉強、与件文から素早く正確に情報を拾う勉強、導き出された解答を採点者に正確に伝える勉強、それぞれを一連の流れとしてではなく別に勉強することで効率的に勉強が可能です。
事例4 100時間
事例4には、事例1~3とは違い計算問題が入ってきます。
そのため、明確な答えが存在することになるので二次試験においては最も差のつきやすい科目になります。
事例4での点数は、中小企業診断士二次試験を左右する場合も多く、事例1~3よりもしっかりと勉強時間を確保して得意といえる状態にまでしておくことが重要です。
特に以下の5つはよく出題される論点のため、確実に理解しておきましょう。
- 経営分析
- 損益分岐点分析(CVP分析)
- キャッシュフロー計算(CF計算)
- 設備投資の経済性計算
- 企業価値
中小企業診断士二次試験は人によって勉強時間が異なる
中小企業診断士の二次試験は、試験を受ける人の状態によっても異なります。
理由は、二次試験の回答方法によるものです。
二次試験は記述式での解答となっており、マークシート方式ではありません。
具体的には80分の試験時間の間に、企業の概要や設問が記載された与件文を読み、事例ごとのテーマに沿って提案や助言、分析を解答する試験となります。
そのため、中小企業診断士に関する知識以外にも「知識の応用力」や「出題者の意図を汲み取る読解力」などが必要です。
このように二次試験には、知識以外の国語的な能力の勉強が必要になるため、受験する人によって勉強時間は異なります。また、「知識の応用力」は実務経験によっても身につきますので、実務経験者は少ない勉強時間でも合格を狙える場合があります。
二次試験を見据えて一次試験の勉強をするのがおすすめ
二次試験対策を効率的に勉強するためには、一次試験における科目別の勉強時点から二次試験を見据えた勉強をすることで効率的に勉強することができます。
上でも紹介しましたが以下の3科目は二次試験との関連性が高いです。
「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」の3科目は二次試験との関連性が高いです。
- 企業経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
この3科目の理解度が二次試験合格を左右するといっても過言ではありません。
二次試験対策の時に後悔しないためにも上記3科目に関しては、最初の段階から最重要科目として、しっかりと理解を深める方針で勉強を進めていきましょう。
まとめ
中小企業診断士の科目別の勉強時間について解説しました。
中小企業診断士試験に合格するためには約1,000時間と多くの勉強時間が必要になります。
しかしながら、科目別の時間配分や効率的な勉強法を意識せずに勉強を進めてしまうと1,000時間以上の時間が必要になる可能性が高いです。
最短時間での試験合格を目指して、より効率的なスケジュールを立てたい方は、今回の記事で紹介した科目別の時間配分や勉強法を参考にしてみてください。