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中小企業診断士は転職に役立つか。就職先や年収についてのまとめ。

中小企業診断士の仕事内容や就職先は?」

「どんな転職に役立つのか?」

中小企業診断士に興味がある人で、このような疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか?

結論、中小企業診断士になると、将来さまざまなキャリアプランが描けます。

経営に関する幅広い知識を備えているため、数々の分野にチャレンジできるからです。

この記事では中小企業診断士の仕事内容や転職後のキャリアプラン、具体的な就職先について解説します。

中小企業診断士についてのイメージが湧き、資格取得に向けてモチベーションが上がるので、ぜひ最後までご覧ください。

中小企業診断士とは

中小企業診断士とは、中小企業が抱える経営課題に対して適切に助言する人のことで、経営分野に関する唯一の国家資格です。

中小企業支援法では「中小企業の経営診断の業務に従事する者」と定義されています。

他の士業が「〇〇の専門家」と言われる「スペシャリスト」の資格に対して、中手企業診断士は、幅広い知識を持つ「ゼネラリスト」の資格と言えるでしょう。

中小企業診断士と他の士業との最大の違いは、「独占業務」がないことです。

独占業務とは、その資格を持っていないとできない業務で、例えば「税務相談」や「税務代理」は税理士しか行えません。

対して、中小企業診断士しかできない業務は存在しません。つまり、多岐に渡る経営課題に対して解決を図る、幅広い知識とスキルが求められます。

このように、他の士業よりも幅広い業務領域を担う中小企業診断士になるためには、資格取得試験でもビジネスに必要な多くの要素が含まれているのです。

中小企業診断士概要

中小企業診断士の役割をまとめると、以下の通りになります。

  • 企業の成長戦略の策定について、専門家の立場でアドバイスする
  • 策定した成長戦略のもとに経営計画を立て、具体的活動に対して支援する
  • 行政や金融機関とのパイプ役として、中小企業への施策の適切な活用を支援する

中小企業診断士になるための試験概要は、以下の通りです。

実施時期年1回
・1次試験は8月
・2次試験は筆記が10月、口述が12月
受験・応募資格・1次試験については制限なし
・2次試験については、1次試験の全科目合格者及び全科目免除者
願書配布・受付期間・1次試験の願書配布は5月上旬から5月下旬頃
・1次試験の受付期間は5月下旬頃まで
申し込み方法受験願書を指定試験機関(社団法人中小企業診断協会)から入手し、同先まで提出する(受験申込については郵送のみの対応)

出典:経済産業省
https://www.meti.go.jp/infomation/license/c_text23.html#:~text

中小企業診断士の資格保有者数

中小企業診断士の資格は5年での更新制となっており、平成31年4月1日時点では約27,000人の診断士が登録されています。

出典:経済産業省
https://www.meti.go.jp/infomation/license/c_text23.html#:~text

他の士業に比べて全体人数は多くありませんが、平成23年から平成27年の期間を見ても登録者数の推移は、増加傾向となっています。

中小企業診断士資格保有者数推移

参考:資格TIMES
https://shikakutimes.jp/shindanshi/126

中小企業診断士の学習期間

中小企業診断士試験に合格するためには、約1,000時間の勉強が必要だと言われています。

1,000時間という長い時間を有する理由は、以下の2点です。

  • 一次試験の出題範囲が広い
  • 二次試験対策が必要(一次試験は知識のインプット中心だが、二次試験は知識をアウトプットする能力が必要

中小企業診断士に合格するために必要な期間は、専業で勉強できる人と、仕事をしながら勉強する人で変わってきます。

専業で勉強できる人の場合は、最低でも半年の期間は見ておいた方が良いでしょう。

週50時間確保した場合(日曜日を除いて1日8時間程度)、半年で1,200時間に到達します。

仕事をしながら勉強する人の場合なら、2年ほどの期間が必要です。

週12時間(日曜日を除いて1日2時間)、20ヵ月強で1,000時間に到達します。

しかし残業や接待、職場の同僚や友人との飲み会など、どうしても勉強できない日もあると考えると、2年の期間は必要だと言えます。

科目別の勉強時間の目安を整理すると、以下の通りです。

一次試験
科目時間
財務会計200時間
企業経営理論150時間
経済学・経済政策130時間
運営管理130時間
経営法務70時間
経営情報システム70時間
中小企業経営・政策50時間
二次試験
事例1~事例3100時間
事例4100時間

1,000時間の勉強時間を捻出することは勿論、得意や不得意科目を理解しながら効率的に科目ごとに勉強時間を振り分けられるかがポイントになります。

中小企業診断士は転職に活きるのか

幅広い知識が必要な中小企業診断士は、どのような場面で活躍できるのでしょうか?

中小企業診断士が活躍できる場面について、見ていきましょう。

中小企業診断士で活躍する場面

中小企業診断士は企業のコンサルティング業務がメインの仕事ですが、中でも「企業内診断士」と「独立診断士」に分類されます。

企業内診断士は資格を保有しながら会社に勤務し、本来の仕事をしながら自社の経営に関するコンサルティングも行います。

一方、会社に属さずフリーランスの状態で、自ら企業と契約してコンサルティング業務をするのが独立診断士です。

中小企業診断士は、コンサルティング以外でも以下4つの業務があります。

  • 補助金申請代行・補助業務
  • 公的業務(中小企業基盤整備機構や商工会議所で働く)
  • セミナーでの講演活動
  • 執筆活動(専門知識を活用したコンテンツの作成)

このように中小企業診断士は、コンサルティング業務だけでなく、幅広い場面で活躍できる士業だと言えます。

中小企業診断士の資格保有者の転職先

経営の幅広いスキルや知識を有した中小企業診断士は、転職先も多岐にわたります。

ここでは中小企業診断士の転職事情として、4つの事例を見ていきます。

コンサルティング業界

中小企業診断士の就職先として、真っ先に挙げられるのがコンサルティング業界です。

経営に関する必要な知識を持ち合わせた中小企業診断士にとって、もっとも活躍できるフィールドだと言えるでしょう。

環境の変化が激しい現代ビジネスでは、経営者は以下の理由でコンサルティングを必要としています。

  • 社内や業界の常識から脱却したい
  • 自社における意識改革
  • 情報を整理、可視化して意思決定のスピードを上げたい

またコンサルティング業界で働くことで、中小企業診断士は以下のメリットが得られます。

  • 高給と社会的ステータス
  • 働き方の自由度が高い
  • キャリアに箔がつくので、人生の選択肢が広がる

以上の事から、中小企業診断士の転職先として有望なのが、コンサルティング業界なのです。

公的な中小企業支援機関

中小企業診断士の転職先としては、公的な中小企業支援機関も挙げられます。

各地の公的中小企業支援機関を整理すると、以下の通りです。

分類機関名
行政機関経済産業局
都道府県中小企業担当課
総合支援独立行政法人中小企業整備機構(地域本部9箇所)
経営相談等都道府県等中小企業支援センター
経営相談ホットライン(9箇所)
小規模支援日本商工会議所(商工会議所:515箇所)
全国商工会連合会(県商工会連合会:47箇所)
(商工会:1,719箇所)
連携支援全国中小企業団体中央会
(県中小企業団体中央会:47箇所)
商店街支援全国商店街振興組合連合会
(県商店街振興組合連合会:47箇所)
金融支援全国信用保証協会連合会
(信用保証協会:52箇所)
株式会社日本政策金融公庫(日本公庫)
沖縄振興開発金融公庫
(店舗:6箇所)
株式会社商工組合中央公庫(商工中金)
(店舗:104箇所)
東京中小企業投資育成株式会社
名古屋中小企業投資育成株式会社
大阪中小企業投資育成株式会社
(九州事務所)
取引支援全国中小企業振興機関協会
(都道府県協会:47箇所)
再生支援中小企業再生支援協議会

出典:中小企業庁「各地の中小企業支援機関」
https://www.chusho.meti.go.jp/link/jisshi_kikan.html

特に経済産業省直轄の特別民間法人である商工会議所は、経済産業省登録制度の資格である中小企業診断士との関係が深い傾向です。

例えば、小規模事業者持続化補助金などの経済産業省の予算枠の仕事は、中小企業診断士に依頼するケースが実際に多く見られます。

しかし自治体からの補助金の減額により、支援機関の数も減少している傾向にあります。

転職先として考える場合は、頭に入れておいた方が良いでしょう。

士業の事務所

会計事務所や税理士事務所など、他の士業の事務所への転職も可能です。

これらの士業は専門分野に関する相談と合わせて、クライアントから経営について相談を受けることが多いからです。

したがって、経営に対する知識を持ちえた中小企業診断士のニーズが高いのです。

また士業の事務所で実務経験を積ながら、事業運営のノウハウを学べるのもメリットの一つでしょう。

一般企業

中小企業診断士の資格は、一般企業への転職でも有利に働きます。

経営のかじ取りが難しくなっている現代では、経営者と同じ目線で物事を考えられる能力を持ち合わせた中小企業診断士は、歓迎される傾向にあるからです。

関西外国語大学の川村悟氏が発表した「企業内診断士の実態調査」では、企業内診断士の職業で民間と公的機関の割合について調査しました。

すると、民間企業の割合(公務員及び公的機関、団体等以外)は80%以上になることがわかりました。

出典:関西外国語大学川村悟氏「企業内診断士の実態調査」
https://www.j-smeca.jp/attachi/kenkyu/honbu/h29/jittaichosa.pdf

このことからも、経営のゼネラリストである中小企業診断士は、民間企業でも活躍する場が大いにあると言えます。

中小企業診断士の平均年収

中小企業診断士の平均年収は約740万円と言われ、給与所得者全体の平均433万円に比べて高めです。

中小企業診断士は税理士や会計士のような独占業務がないため、資格の活かし方によって年収にバラつきが出ます。

例えば、中小企業診断士として独立して業務を行った場合の年収は高くなる傾向で、構成比から見ると500万円から1,500万円が全体の約半分を占めています。

年収回答数構成比(%)
300万円以内8314.3
301万円~400万円518.8
401万円~500万円5810.0
501万円~800万円12421.4
801万円~1,000万円6611.4
1,001万円~1,500万円8915.4
1,501万円~2,000万円396.7
2,001万円~2,500万円254.3
2501万円~3,000万円162.8
3,000万円以上284.8
合計579100.0
(※コンサルティング業務日数が100日以上の人が対象)

出典:一般社団法人中小企業診断協会「『中小企業診断士活動状況アンケート調査』結果について」
https://www-j-smeca.jp/attach/enquete/kekka_r3.pdf

対して中小企業診断士が会社で働く場合の年収は、企業規模にもよりますが500万円~600万円と言われています。

独立した中小企業診断士に比べると年収は低めですが、それでも全体平均の433万円と比べれば高くなっています。

以上のことから、中小企業診断士は活動内容によって年収は変わりますが、少なくとも全体の平均年収以上、資格をうまく活用し独立すれば高年収も期待できるのです。

中小企業診断士を求める会社は?求人状況

新型コロナウィルス前後で、転職者や就職者は「売り手市場」から「買い手市場」に変わったと言われています。企業は即戦力を求め、資格保有者への関心が高まるようになりました。

特に経営についての知識が豊富で、幹部候補生への期待がかかる中小企業診断士へのニーズは、年々高まってきているのです。

多くの企業は、以下の理由で中小企業診断士を求めています。

  • 即戦力になる
  • 経営センスがありそう
  • 幹部候補生として考えられるから
  • 会社の展望を見据えて

このようなビジネスを取り巻く環境の変化からも、中小企業診断士を求める会社は今後も増えていくでしょう。

中小企業診断士のメリット

では、中小企業診断士になることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?

ここでは、中小企業診断士の4つのメリットについて見ていきます。

昇格が見込める

企業内にとどまる中小企業診断士は、ビジネス全般に関する知識があると見られ、周囲から相談を受けやすい立場になります。

意見を求められる立場は社内外での評価も高まりやすく、昇進や昇格において有利になるでしょう。

一般社団法人の中小企業診断協会が実施した、「資格取得時の勤務先や関係先からの評価」についてのアンケートでは、80%以上が概ね良い評価だったと回答しています。

選択肢回答数構成比(%)
昇給・昇格した1126.1
資格手当が支給された24113.1
資格が生かされる部署に配置された21111.5
上司・同僚から良い評価を得た47025.6
関係先から良い評価を得た44824.4
勤務先・関係先の処遇に変化はなかった74040.4
取得したことを伝えていなかった1437.8
その他1106.0
n=1,833
「中小企業診断士の資格取得時に、勤務先や関係先からどう評価されたか」(複数回答可)

出典:一般社団法人中小企業診断協会「『中小企業診断士活動状況アンケート調査』結果について」
https://www-j-smeca.jp/attach/enquete/kekka_r3.pdf

以上のデータを見ても、ビジネスの知識を実践に活かせる中小企業診断士は、社内での評価が高まり昇格が見込めやすいことが分かります。

副収入が期待できる

中小企業診断士になると、診断士つながりで単発の仕事が舞い込む時があります。

副収入が得やすいのも、中小企業診断士のメリットのひとつでしょう。

具体的には、以下のような仕事で副収入を得ることが可能です。

  • 講演
  • 資格学校での講師や模擬試験の作成・添削
  • クライアント企業の業務支援補助
  • 中小企業向け補助金の申請支援

一盤的な副業と比べて、比較的高い単価の案件が多いのも特徴です。

起業という選択肢ができる

中小企業診断士になると、起業の選択肢が広がります。

起業して事業を成功させるには経営全般に関する幅広い知識が必要で、中小企業診断士はそれらの知識を既に持ち合わせているからです。

また事業の成功には、人的ネットワークが欠かせません。

中小企業診断士は資格を取得するために、実務補修が義務付けられています。

この実務補修を通してグループのメンバーや指導員とつながることで、独自の人脈を形成するケースが少なくありません。

資格取得後も、中小企業診断協会や他の任意団体へ所属することで、多くの中小企業診断士と知り合えます。

このようなかけがえのない人脈は、独立するにあたって必ず役立つでしょう。

視座を高く持てる

中小企業診断士になると、必然的に高い視座を持てるようになります。

ゼネラリストの中小企業診断士ならではの幅広い経営知識から、「鳥の目」が養われるようになるからです。

ビジネスは真実を追い求めるだけではなく、「正解に近い解釈」をより短時間で見つけること、つまり柔軟な物の見方が必要です。

例えば、中小企業診断士の資格を取得する前は一従業員の立場で、経営者や上司の言動に不満を持つこともあるでしょう。

しかし、資格を取得し経営に関する知識を得ると、社内のさまざまな事情が理解できるため経営者や上司の言動にも納得できるようになります。

このように幅広い経営知識を得た中小企業診断士は、事象に対してより高い視座で物事を見直せるのです。

まとめ

以上、中小企業診断士の就職先や転職事情について解説しました。

幅広い経営知識を備える中小企業診断士は、経営課題を抱える中小企業など多くの場面で活躍できることがお分かりいただけたでしょう。

ただし独占業務がない中小企業診断士は、資格=収入というわけではありません。

資格を取得するために得た経営知識を、世の中にどう役立てていくかが大切なのです。

資格取得後、自分がどうなっていたいかの理想を描くことで、辛い勉強期間でもモチベーションを保ち続けられるでしょう。